Haruyo's poem

台風が通った後に、バラバラになったちぎれた枝が
秋の落葉のようにかさなりあっている。

まだ緑がはっきりのこる、ちぎられた枝に

なたで割ったような、生々しい枝の先。

時々、強い風がまだのこっていて、
突くように身体を揺らす。 

東京の、ど真ん中の木立が少しだけある

私の好きな通り道。

早いせいか誰も手をつけていない道路に
変形したエモンかけの金具が、たくさん落ちていた。

カラスの巣がこわれたんだ。

きっと、赤ちゃんカラスを守ろうと、
お母さんカラスは頑張ったんだ。

その道を通り過ぎた頃、
後ろで、カラスが鳴いた。 

どうにもならない悲しみの、
やるせない悲鳴が聞こえた。

きっとカラスの眼には、
涙がたくさん私は振り返れず、
そのまま信号を渡った。 

散歩の帰りは道を変えて、一呼吸。

あらしのひきあげた朝に


Haruyo

姉と 妹と 弟と
月に一度の食事会
オッ!と手をあげ弟の
子供の頃のあの笑顔
ちょっとひかえめ腰おろす
一つ違いの妹も
続けて病で世を去って
食事の約束反故にして
淋しがりやの私には
今でも二人の姿追い
食事会したその店を
なるべく避けて通りすぎ


Haruyo

今九歳の老犬は

だんだん朝が早くなり

昼寝の時間もふえて来て

時々ねぼけて吠えもする

人も犬でも年のせい

昼寝 早起き 空虚感

約束通りにいかない日

年のせいだとあきらめる

犬にはそれがないだろか


Haruyo

公園のベンチに座って見上げれば

昔と変わらず青い空

次々とすぎさる飛行機十数機

音と光のバランスに

ついていけないもどかしさ

キカイばかりで毎日の

歩みもとまどうことばかり

この次生まれてきたときは

流れる雲になりたいな 


Haruyo

新しい朝がやって来る

子供の頃の朝

二十歳の朝

そして五十代の朝

いつも朝はやさしく迎えてくれた

今は 夜布団にくるまって

翌日のスケジュールを考えていたら

朝が早く来るようになった

歳のせいかな… 


Haruyo