カラスの涙
台風が通った後に、バラバラになったちぎれた枝が
秋の落葉のようにかさなりあっている。
まだ緑がはっきりのこる、ちぎられた枝に
なたで割ったような、生々しい枝の先。
時々、強い風がまだのこっていて、
突くように身体を揺らす。
東京の、ど真ん中の木立が少しだけある
私の好きな通り道。
早いせいか誰も手をつけていない道路に
変形したエモンかけの金具が、たくさん落ちていた。
カラスの巣がこわれたんだ。
きっと、赤ちゃんカラスを守ろうと、
お母さんカラスは頑張ったんだ。
その道を通り過ぎた頃、
後ろで、カラスが鳴いた。
どうにもならない悲しみの、
やるせない悲鳴が聞こえた。
きっとカラスの眼には、
涙がたくさん私は振り返れず、
そのまま信号を渡った。
散歩の帰りは道を変えて、一呼吸。
あらしのひきあげた朝に
Haruyo
0コメント